2009年7月22日

HeadRoom Ultra Desktop DAC


About HeadRoom Ultra Desktop DAC

このUltra Desktop DAC (以下 UDAC)は09年5月に発売されたばかりで、HeadRoomのスタンドアローンDACとしては最上位機種になります。

UDACの大きな特徴は、いま最も注目を浴びている超高性能チップ"ESS Technology ES9008 SABRE"を搭載している点です。

ES9008は"HYPERSTREAM"と呼ばれる画期的なD/A回路、特許が取得されたデジタルオーディオインターフェイスレシーバー、同じく特許取得済みのジッター低減回路により超高音質を達成しています。

1チップに8chある Balanced D/A回路をステレオ2chのPCM信号で出力した場合、実測で130dBものダイナミックレンジを実現することからもES9008の高性能を垣間見ることが出来ます。

現在、オーディオメーカーでこのES9008を採用した機器を製品化しているところは非常に少ないため、HeadRoomは、このUDACが最新のDACチップをいち早く体験できる製品であることを強調しています。

また、ハイエンド志向ではないガレージメーカーの強みとして、高性能パーツを利用しつつも相対的に安価な価格設定にすることで、UDAC($1,299)は3倍以上の価格差があるDAC群と同等、もしくはそれ以上の価値があるのでは…と、かなりの自信を覗かせています。



1.仕様
機能はシンプルなもので、フロントパネルはインプットセレクターとフィルターロールオフスイッチ、そして各種インジケーターのみとなります。

入力はオプティカル、コアキシャル、USBの三系統と基本は押さえてあります。
出力はシングル、バランスの各一組づつです。

入出力端子は全て高品質なパーツが使われています。
RCA端子についてはカルダス製となり、その辺りも抜かりなしといったところですね。

尚、電源は全世界で使用可能なアダプタ"Astrodyne Powersupply"が付属します。
また、より高品質な電源環境を望む場合は、別売りの専用電源ユニットがラインナップされています。



2.音質
"高性能に裏づけられた自然"といったところでしょうか。

解像度は非常に高いです。鮮明さだけでなく、ニュアンス表現もとても優れていると感じます。微小音の再生能力もかなりのものですが、それを鼻にかけるようなわざとらしさは皆無です。

各音像の定位ははっきりしつつも音場は自然なつながりを持っています。
奥行きなども良く表現し、適度な音場の広さと合わせ開放的な印象を持ちます。

音色はウォーム傾向ですが、温かみに溢れていると言うよりも全般的な硬さや冷たさがなく"有機的"であるといった感じなので音楽の抑揚などもしっかり伝えてくれます。

特に主張する帯域はないのでモニター的な正確性は高いのですが、そこに音楽的な生きの良さも同時に存在しているため、"無難"というよりは"自然"という表現がぴったりくると思います。

他の$1,000ラインのDACの特色は

Benchmark DAC-1 "高域の個性、高解像度"
Lavry DA10 "バランスの良さ"
PS Audio DLⅢ "音場の広さ、立体感"

とされていますが、私見ではUDACの音はDA10のバランスの良さを基調としつつ、より高解像度で立体感の高さも際立っていて、かつモニター然としたつまらなさを取り除いた、三者の長所をうまく組み合わせた音にみえます。




3.MAX DACとの比較
Ultra Desktop Ampに内蔵されているMAX DACの特徴は中域が分厚く声などはよく通ります。
押し出し感が強めで迫力はかなりのものです。微小音なども割合強調されているようで、埋もれがちな音もしっかりと拾ってはっきりとした輪郭をもった表現をします。

反面、抑揚にはかけているようで、静と動の駆け引きとかそういう意味での躍動感はそれほど感じられません。そして音の壁ともいえるほどの力強さをもつということは、つまるところ音場が平面的である印象を拭えないということです。
※音像自体は彫が深く立体的です



4.雑感
正直な話、DACにはあまり期待していなかったのですが、音は素人目にもはっきり分かるほどの違いがあり驚きました。

ただ単に15万円程度の予算で手軽なDACを求めているとしたら、個人輸入が必要なこのUDACは選択肢から遠のいてしまうかと思います。しかしながら、もし興味を持った方がいたのなら是非とも実際に聴いてみてほしい製品です。

同時に、Ultra Desktop Ampの方はアンプの個性というより上流の音色を素直に反映するタイプなのかなといった印象を持ちました。

MAX DACも悪いものではないのですが、HeadRoomでアンプを買うならUDACを前提とした構成の方が満足感は高いかもしれませんね。


a.一口メモ
・解像度が非常に高い
・定位が超正確
・立体感(奥行き表現)に優れる
・微妙な音程の揺らぎなどもはっきり認識できる(音量に関わらず)
・作った感が少なく、かなり自然な音
・なのに躍動感に溢れている

-音の分厚さを一番に求めるなら他の選択肢がある
-ボーカルを際立てたいとか、迫りくるSuper Sawシンセを聴きたいとか

トンガリ感なしに聴いていて楽しい音を作る土台


2009年7月1日

HeadRoom Ultra Desktop Amp



About Ultra Desktop Amp
このアンプは、アメリカ モンタナ州に位置するガレージメーカー"HeadRoom"によるものです。
HeadRoomの製品群はポータブル向け、デスクトップ向けなど、用途に応じていくつかのラインに分けられています。
そしてこのUltra Desktop Ampは、据え置き系シングルエンドアンプの現行における最上位機種となります。

音質について話をする前に、Desktop Lineのラインナップがどのように差別化されているのか確認します。
これらの中で最も手軽なアンプは$699からとなりますが、増幅部の変更やDACの追加、またバランス化させるか否かによって最終的には$1,699まで値段差が広がります。

音質の差、また違いについては私自身で全てを確認したわけではないので比較はできませんが、値段差に応じて内部のコストも順当にアップしているのは事実のようです。

しかし、各所のレビューなどを見た限りでは、どのアンプでも"HeadRoomの音"であることには変わりないようで、とりあえずこのメーカーの根本的な音作りを楽しみたいのであれば必ずしもハイエンドを選らばなければならないというわけではないと思います。

話を戻します。
それではUltra Desktop Ampはどう位置づけられているかということです。
このアンプはHeadRoomの現行製品の中で最高レベルの音質と利便性を兼ね備えた複合機と言えます。
というのは、1chにつき4つの"Burr Blown OPA627"が使用されたMaxモジュールと、Benchmark DAC1にも採用されているSRCチップ"Analog Devices AD1896"が使用されたMax DACを搭載している上に、個体もどちらかといえばコンパクトであるという理由によります。

また同社スタッフによれば、オプションの電源ユニット "Desktop Power Supply"を追加すれば、音質的にはかの有名な"Home(Max) Amp"と同等であるとのことです。

上記の電源ユニット(DPS)は、かつての"Home(Max) Amp"の電源部を分離したものです。
HeadRoomでは、低消費電力ではあるがクラスA動作をするアンプに対してはこのDPSの使用を推奨しています。

以下の感想もDPSと組み合わせた上でのものとなります。

1.音質
このアンプの音を端的に表すと、Music To Goでも言われているように、「力強くハイスピードで解像度が高い」といった印象に尽きます。

あちらのBalanced Desktop Ampとは駆動方式もモジュールも異なりますが、大まかな部分はささきさんの感想と全く同じです。これは各メーカー固有の音ということが影響しているのでしょう。

それでは、複合機としてのUltra Desktop Ampが具体的にどういった音なのかをより詳しく見てみます。

まず感じるのは、SN比が非常に高くノイズ感が一切ないという点です。
音像は鮮明かつ輪郭がはっきりしていて、いわゆる"漆黒の背景"とか"無音の空間から音が浮かび上がる"という表現は一体何を意味しているのかという疑問を払拭します。

解像度が高いということで音はとても滑らかで歪み感を感じさせません。
力強いというと荒々しさがあるのではとも思えますが、これは音の制動性が高くダイナミックな鳴り方をすることに起因するもので、実際に聴いてみると、むしろ端正でしなやかという印象も残ります。

全体的な印象として、硬さ・やわらかさ、温かみ・冷たさに偏ることはなく、ピアノの高音部、中高域よりの打楽器、ディストーションギターなど、ソースが本来持つ刺激ははっきりと表現しつつもそれらに支配されてしまうということはありません。

言い換えれば、ボーカルの声が擦れていても刺さりや痛みを感じさせないということです。マスキングではなく、滑らかさによって痛い音を聞かせないようにしているので、美味しい音を削ることなく不快な音を出さない事が達成されています。

一聴してモニター系の音だと判断する人もいると思います。
けれども、先述のように音それ自体は特に無機的だとは思いませんし、どちらかといえばニュートラルに感じます。

ただ、解像度が高く鮮明ではあるのですが、この鮮明というのは芯がはっきりしているという意味で、青空のような明るさということではないので、突き抜けるようなクリア感を求めている人には合わないでしょう。

また、このアンプはソースに収録されている音をこれでもかというほど出し尽くすので、不意に入ってしまったと思えるノイズなども全て聴こえてしまいます。

すなわち、どのような音もはっきりと再生するが故に、微小音のディテールを確認せずにこれらがノイズの一種であると誤認してしまうケースもあるということです。
※ただ某所のBUDAインプレで言われている、バランスを崩すような"ノイズの強調感"は全くありません。これは実際にはアンプの性能ゆえに弱音も滲ませずに鳴らすと言った表現が正しいでしょう。

私見では特にジャンルに得て不得手はないと思います。
生楽器、電子楽器、声問わず魅力的に鳴らしてくれるのではないでしょうか。

しかしながら、アンプの段階で響きや艶を与えているようには見えませんので、ヘッドホンアンプにも開放感や温もり、くつろいだ音を求めている人は他の選択肢を探した方がいいかと思われます。


2.外観
デザインとして高級感はありませんが、質感や手触りなどは良く品質の高さを感じます。
フロントとリアを囲っているブラックウレタンもいいアクセントになっていると思います。

個人的には無骨すぎず、華美すぎずのこのデザインは好きです。


3.使用感
入力はアナログ2系統、及びデジタルはコアキシャル、オプティカル、USBと
大抵の環境では不便に感じることはないと思います。

ボリュームはアルプスのRK27を使用しているようで操作感は上々。
逆にスイッチ類は小さすぎて扱いにくいです。
ただ、それほど頻繁にいじるものでもないので気にはなりません。

ジャックは標準とミニを備えていて変換プラグの必要がありませんが
人によっては逆に懸念事項かもしれません。

またプリアウト端子を持っているため
プリアンプとしてスピーカー環境を構築する際には手助けになるかもしれません。

ウレタン縁はしっかりとした滑り止めをかねています。


4.雑感
・個人輸入について
現在、国内にHeadRoomの代理店がないため購入は個人輸入に限られます。
カート方式の採用や会社の信用度が高いことからとても安心して取引が出来ます。
支払いはクレジットカードかPaypalとなり、商品代金と送料が合計金額となります。
送料は$30から$100程度で、後述のセットですと$70くらいかと思われます。
配送業者はUPSで、発送からだいたい5営業日以内には到着します。
受け取りの際に消費税がかかりますが、関税はありません。

・パッケージシステムの勧め
HeadRoomには、まとめ買いによる割引制度があります。
たとえば今回紹介した

Ultra Desktop Amp + Desktop Power Supply + AKG K701

という内容の"Serious Audiophile Package ($2,149)"の場合
おまけとしてK701がついてくる程度にディスカウントされていて
かなりお得だと思います。

・対応、サポート
メールによる対応は迅速な場合が多いです。
ただし、購入相談や発送など、修理以外の全ての用件は"email Sales Dept"へ
修理や本体についての相談はについては"email Technical & Repair Services"にContact Usよりコンタクトしましょう。




5.んで、これは買いなの?
アンプ単体で$1,599なんで多少の為替変動があったとしても
m902を国内で購入するよりは安いですね。

音色的にも特定域の強調感がなく、芯のある迫力を楽しめる割にはキツさを感じることもなく聴き疲れもしにくい優れた音作りなので、楽しくリスニングできる範囲内でやり過ぎない程度に高域が目立つm902とは良い意味で比較対象になるでしょう。
(m902はルックスも良いですしね)

主な理由としては、基本性能の高さに差異を感じないということ
どちらもオーディオ的な範疇で"モニターより"とされていること
DAC内蔵の複合機であるいうことによります。

また、入手するには個人輸入が必要かつ、日本語の情報が少ないということで
興味はあるけど購入までは、という人もいるかと思います。

しかしながら、HeadRoomを含むアメリカの会社には30 Day Guaranty という30日間お試し制度があるので、仮に気に入らなかった場合でも送料の差額のみでトラブルなく円滑に返金に応じてもらえます。

また初期不良や到着一ヶ月以内の故障は往復の送料含め追加コストなしで良品と交換できます。

実際、いままでに聴いてきたアンプの中ではこれが一番好きです。
(SA-17S1、AT-HA2002、SXH-2などを使ってました)

結構いいアンプなのでより多くの人に興味を持ってもらえたらと思います。
ちと高くなるけど専用電源とセットがお勧め。


X.一言メモ

アンプ
1.アンプ自体はニュートラルで上流の音色をそのまま伝える印象
2.ヘッドホンの制御能力はきわめて優れている (いわゆる "鳴らしきる" "ドライブする")
3.歪み感の少なさや、S/N比の高さなどの基本性能は高い

Max DAC
a.中域が分厚いかまぼこ型
b.押し出し感は強め
c.微小音ははっきり出すかんじ
d.ボーカルや他の中域系は、艶というより実体感重視
e.なんだかんだで、中域をがっつりはっきり聴けるのは良い点

Ultra Desktop Amp + Ultra Desktop DAC (UDAC)
i.予算に余裕があればUDACとの組み合わせを強く勧めます
ii.ぶっちゃけ内蔵DACとは比較にならないくらい差がある
iii.いい意味で癖のない、聴く人を選ばない高音質→詳細
iv.DACは重要、プラセボの範囲とかそういう次元を超えてはっきりと音に影響します
(実際、アップサンプリングやアナログ段なんかで音作りしてるからでしょうね)