About HeadRoom Ultra Desktop DAC
このUltra Desktop DAC (以下 UDAC)は09年5月に発売されたばかりで、HeadRoomのスタンドアローンDACとしては最上位機種になります。
UDACの大きな特徴は、いま最も注目を浴びている超高性能チップ"ESS Technology ES9008 SABRE"を搭載している点です。
ES9008は"HYPERSTREAM"と呼ばれる画期的なD/A回路、特許が取得されたデジタルオーディオインターフェイスレシーバー、同じく特許取得済みのジッター低減回路により超高音質を達成しています。
1チップに8chある Balanced D/A回路をステレオ2chのPCM信号で出力した場合、実測で130dBものダイナミックレンジを実現することからもES9008の高性能を垣間見ることが出来ます。
現在、オーディオメーカーでこのES9008を採用した機器を製品化しているところは非常に少ないため、HeadRoomは、このUDACが最新のDACチップをいち早く体験できる製品であることを強調しています。
また、ハイエンド志向ではないガレージメーカーの強みとして、高性能パーツを利用しつつも相対的に安価な価格設定にすることで、UDAC($1,299)は3倍以上の価格差があるDAC群と同等、もしくはそれ以上の価値があるのでは…と、かなりの自信を覗かせています。
1.仕様
機能はシンプルなもので、フロントパネルはインプットセレクターとフィルターロールオフスイッチ、そして各種インジケーターのみとなります。
入力はオプティカル、コアキシャル、USBの三系統と基本は押さえてあります。
出力はシングル、バランスの各一組づつです。
入出力端子は全て高品質なパーツが使われています。
RCA端子についてはカルダス製となり、その辺りも抜かりなしといったところですね。
尚、電源は全世界で使用可能なアダプタ"Astrodyne Powersupply"が付属します。
また、より高品質な電源環境を望む場合は、別売りの専用電源ユニットがラインナップされています。
2.音質
"高性能に裏づけられた自然"といったところでしょうか。
解像度は非常に高いです。鮮明さだけでなく、ニュアンス表現もとても優れていると感じます。微小音の再生能力もかなりのものですが、それを鼻にかけるようなわざとらしさは皆無です。
各音像の定位ははっきりしつつも音場は自然なつながりを持っています。
奥行きなども良く表現し、適度な音場の広さと合わせ開放的な印象を持ちます。
音色はウォーム傾向ですが、温かみに溢れていると言うよりも全般的な硬さや冷たさがなく"有機的"であるといった感じなので音楽の抑揚などもしっかり伝えてくれます。
特に主張する帯域はないのでモニター的な正確性は高いのですが、そこに音楽的な生きの良さも同時に存在しているため、"無難"というよりは"自然"という表現がぴったりくると思います。
他の$1,000ラインのDACの特色は
Benchmark DAC-1 "高域の個性、高解像度"
Lavry DA10 "バランスの良さ"
PS Audio DLⅢ "音場の広さ、立体感"
とされていますが、私見ではUDACの音はDA10のバランスの良さを基調としつつ、より高解像度で立体感の高さも際立っていて、かつモニター然としたつまらなさを取り除いた、三者の長所をうまく組み合わせた音にみえます。
3.MAX DACとの比較
Ultra Desktop Ampに内蔵されているMAX DACの特徴は中域が分厚く声などはよく通ります。
押し出し感が強めで迫力はかなりのものです。微小音なども割合強調されているようで、埋もれがちな音もしっかりと拾ってはっきりとした輪郭をもった表現をします。
反面、抑揚にはかけているようで、静と動の駆け引きとかそういう意味での躍動感はそれほど感じられません。そして音の壁ともいえるほどの力強さをもつということは、つまるところ音場が平面的である印象を拭えないということです。
※音像自体は彫が深く立体的です
4.雑感
正直な話、DACにはあまり期待していなかったのですが、音は素人目にもはっきり分かるほどの違いがあり驚きました。
ただ単に15万円程度の予算で手軽なDACを求めているとしたら、個人輸入が必要なこのUDACは選択肢から遠のいてしまうかと思います。しかしながら、もし興味を持った方がいたのなら是非とも実際に聴いてみてほしい製品です。
同時に、Ultra Desktop Ampの方はアンプの個性というより上流の音色を素直に反映するタイプなのかなといった印象を持ちました。
MAX DACも悪いものではないのですが、HeadRoomでアンプを買うならUDACを前提とした構成の方が満足感は高いかもしれませんね。
a.一口メモ
・解像度が非常に高い
・定位が超正確
・立体感(奥行き表現)に優れる
・微妙な音程の揺らぎなどもはっきり認識できる(音量に関わらず)
・作った感が少なく、かなり自然な音
・なのに躍動感に溢れている
-音の分厚さを一番に求めるなら他の選択肢がある
-ボーカルを際立てたいとか、迫りくるSuper Sawシンセを聴きたいとか
・トンガリ感なしに聴いていて楽しい音を作る土台
